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日射反射率とは?高めるメリット・デメリットを徹底解説

日射反射率とは?高めるメリット・デメリットを徹底解説

日射反射率は、住宅の快適性を左右する要素のひとつです。遮熱塗料を使用すると日射反射率を高めることが可能ですが、メリットとデメリットの両方があるため、特徴をよく理解してから検討することが大切です。

今回は日射反射率の基礎知識と、遮熱塗料の特徴、遮熱塗料で日射反射率を高めるメリットとデメリットについて解説します。

 

日射反射率とは?

日射反射率とは、太陽光を反射する割合を示す指標のことです。日射反射率の数値が高ければ高いほど、太陽光を高いレベルで反射できることを表しています。

日射反射率の単位は%(パーセント)で、以下の計算式で求められます(※1)。

日射反射率=(太陽光の日射スペクトル×塗膜の分光反射率)/全日射量

※1 一般社団法人 日本塗料工業会「高日射反射率塗料に関する補足資料」P2

太陽光の日射スペクトルとは、日射エネルギーの波長に対する分布を表したものです。また、分光反射率とは光の波長ごとに測定した物質の反射率のことです。そして全日射量とは、全天から地上の水平面に到達する日射量のことを指します。

近赤外線とは

太陽光は大きく分けると、紫外線、可視光線、赤外線の3つに区分されています。

この太陽光に含まれる赤外線は、近赤外線という波長領域のものです。他2種に比べるとエネルギーは少ないものの、地表に到達する太陽光の約半分を占めています。このように高い割合を占める近赤外線は、物質に吸収されやすく、熱を発生させやすい性質を持つため、太陽光による熱の発生の主な要因となっています。

よって、熱の発生を抑えるためには、より多くの近赤外線を反射できるようにすることが重要です。

遮熱塗料によって日射反射率を高められる

先述の近赤外線に対する反射率(近赤外日射反射率)は遮熱塗料の使用によって向上させることが可能です。遮熱塗料とは、その名の通り熱を遮る効果のある塗料のことで、工業規格における正式名称を「高日射反射率塗料」と言います。

遮熱塗料は、物質に吸収されて熱になりやすい特性を持つ近赤外線領域の光を、特殊な顔料(着色に用いる粉末)を使うことで効率的に反射できる仕組みになっています。

遮熱塗料の日射反射率は色相によって異なる

遮熱塗料の日射反射率は、使用する塗料の種類によって異なるほか、色相による違いもあります。

一般的に、明るめの色ほど日射反射率は高くなり、暗めの色は日射反射率が低下する傾向にあります。ある実験にて、8色の衣服における日射反射率を測定したところ、最も数値が高かったのは白で、次いで黄色、灰、赤、紺、青、オリーブ、黒の順となりました(※1)。

色と日射反射率の関係は、遮熱塗料についても同じことが言えます。同じ遮熱塗料でも、白色の塗料が90%以上と高い日射反射率を示しているのに対し、黒色の塗料は30%程度と、60%前後の差が生じるケースも報告されています。より日射反射率の高い屋根にしたいのなら、白系か、淡彩色の遮熱塗料を選ぶのがおすすめです。

ただし、日射反射率の高い塗料にはいくつかのデメリットもあります。日射反射率だけを基準にして塗料を選ぶと後悔する可能性もあるため、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。

※1 日本建築学会「表色値と衣服の日射透過率,日射反射率,日射吸収率の関係」P3

遮熱塗料と断熱塗料の違い

遮熱塗料と断熱塗料は字面が似ているので混同されがちですが、その性質は大きく異なります。遮熱塗料には、太陽光に含まれる近赤外線を反射し、屋根に吸収されるのを防ぐはたらきがあります。

一方、屋根や外壁に熱が伝わるのを遮断する作用を持つのが断熱塗料です。熱を遮るという点は共通していますが、遮熱塗料は屋外から降り注ぐ太陽光を反射することで熱の発生を防ぐのに対し、断熱塗料は熱そのものの伝導を防ぐところが大きな違いです。

遮熱塗料を使って日射反射率を高めるメリット・デメリット

エアコンの温度を調節する女性

遮熱塗料を用いて日射反射率を向上させると、複数のメリットを期待できる反面、いくつかのデメリットも生じます。

ここでは遮熱塗料で日射反射率を高めた場合に想定されるメリットとデメリットを説明します。

メリット:夏の暑さを軽減できる

一年で日差しが最も強くなる夏場は近赤外線量も大幅に増加する時期です。
近赤外線が屋根に吸収されると、発生した熱が室内にまで伝わり、室温が上昇する原因となります。

遮熱塗料を使用すれば、夏の日差しに含まれる近赤外線を効率良く反射できるため、室内の温度上昇を抑制することが可能となります。室温をどの程度低下できるかは塗料の種類や色相によって異なりますが、環境省が実施した実証試験によると、東京都にある工場の屋根に遮熱塗料を塗布した結果、夏季14時の屋根表面温度が5.7℃低下、自然室温は0.9℃低下、体感温度は1.2℃低下したというデータが報告されています(※1)。

近年の日本は猛暑日を観測する地点も多く、毎年熱中症にかかる人が後を断ちません。熱中症は直射日光が当たる屋外で起こりやすいと思われがちですが、総務省の資料によると令和5年(5~9月)に熱中症で救急搬送された人数は9万1,467人で、このうち約4割に当たる3万6,541人は住居での発症だったと報告されています(※2)。

遮熱塗料で日射反射率を高めれば、室温や体感温度の低下により、熱中症リスクの低減も期待できるでしょう。

※1 環境省「建築物外皮による空調負荷低減等技術実証試験結果報告書」P7
※2 総務省「令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」P4

メリット:省エネになる

夏場は熱中症対策のためにエアコンを稼働させている家庭が多いでしょう。エアコンの電気消費量は、室温と設定温度の差が大きいほど増加するので、遮熱塗料で夏場の室温上昇を抑えれば電気代の節約につながります。

具体的な省エネ効果は塗料の種類、色相によって異なりますが、前述した環境省の実証実験では、東京都の工場において夏季1カ月の熱量が491kWh/月低下し、電気料金2,280円の節約となりました(※1)。夏季6~9月までの4カ月間では、合計1,450kWhの熱量減となり、電気料金は6,691円の節約となっています。

地球温暖化の影響で今後も日本の夏は過酷になることが予想されているため、夏場の電気代を節約できるのは大きなメリットとなるでしょう。

※1 環境省「建築物外皮による空調負荷低減等技術実証試験結果報告書」P7

メリット:建材の劣化防止

屋根で発生した熱が建物全体に伝わると、建材の劣化が進んでしまうことがあります。遮熱塗料で熱の発生を抑えれば、屋根材を含む建物全体の劣化を遅らせることが可能です。

また、建物内が高温多湿の状態になるとカビが発生しやすくなるため、遮熱塗料で室温を抑えれば住宅のカビ対策にもなります。

メリット:補助金・助成金を使える場合がある

自治体によっては、日射反射率の高い遮熱塗料を使用した塗装に対し、補助金や助成金を給付しているところがあります。例えば東京都台東区では、省エネや創エネアクションを支援する制度として、一定の対象機器を導入した場合に助成金を受け取れる「住宅向けエコ助成制度」を導入しています。

助成対象機器の中に「高反射率塗料施工」があり、近赤外域で40%以上の高日射反射塗料、50%以上の高日射反射防水塗料を屋根または屋上に塗布した場合、施工費用の20%(上限15万円)を助成してもらえます(※1)。

なお、この助成金は工事前に申請が必要で、さらに交付が決まってから3ヶ月以内に工事および支払いを完了し、報告書を提出しなければなりません。また、予算がなくなり次第受付終了のため、受付状況については都度確認する必要があります。
上述の助成制度をはじめ、遮熱塗料を用いた施工に対する補助金・助成金の有無や内容、条件は自治体によって異なりますが、上手に活用すれば屋根塗装の費用を節約することが可能です。

※1 台東区「住宅向けエコ助成制度のご案内」P2

デメリット:寒さ対策にはならない

遮熱塗料は近赤外線域の光を反射することによって熱の発生を防ぐメカニズムになっています。断熱塗料のように、熱そのものの伝導を遮るはたらきはないため、冬場の寒さ対策にはなりません。

特に北海道や東北などの北日本エリアは寒さが厳しいため、遮熱塗料よりも熱の伝導率を抑える断熱塗料の検討をした方がよいでしょう。

デメリット:一般塗料よりも単価が高い

遮熱塗料は機能性が高いぶん、一般的な塗料よりも単価が高めに設定されています。実際の費用は塗料の種類によって異なりますが、一般的なシリコン塗料の1㎡あたりの相場が1,600円~3,500円程度であるのに対し、遮熱塗料の相場は3,500円~5,000円/㎡がおおよその相場となっています。概してシリコン塗料を使用した場合よりも屋根塗装のコストが割高になってしまうところがネックです。

ただ、シリコン塗料の耐用年数は8~10年と遮熱塗料(12~15年)より短いため、塗り替えの頻度を考慮した場合、遮熱塗料の方がコストパフォーマンスが高くなる可能性もあります。

デメリット:定期的なメンテナンスが必要

遮熱塗料の日射反射率は、あくまで塗料を塗布した直後の数値です。時間の経過と共に塗膜にゴミやホコリ、排ガスなどの汚れが付着すると、塗膜の効果が低下し、日射反射率も落ちてしまうおそれがあります。日射反射率を高い状態に維持するためには、定期的に屋根の清掃を行い、きれいな状態をキープする必要があります。

屋根の清掃には高圧洗浄機が必要になるほか、屋根に上がって作業しなければならないため、安全面などから専門の業者に依頼するのが一般的です。業者による屋根洗浄には費用がかかるので、遮熱塗料を検討する際は清掃のコストも計算しておくことが大切です。

デメリット:高反射率の色相を選ぶと汚れが目立つ場合がある

遮熱塗料の日射反射率は色相によって異なると説明しましたが、白系など高反射率の色相を選んだ場合、汚れが目立つという欠点があります。黒や紺など暗色系の色相を選べば汚れは目立たなくなりますが、白系に比べると日射反射率は著しく低下します。

日射反射率にこだわると色相の選択肢が少なくなり、かつ美観を保つにはこまめな清掃が必要になる点に注意が必要です。

遮熱塗料を使って屋根塗装するならプロに相談するのがおすすめ

遮熱塗料にはメリットとデメリットの両方があるため、ニーズや地域によっては屋根塗装に適さないこともあります。屋根塗装に遮熱塗料を使用するかどうか迷ったときは、プロの業者に相談し、アドバイスを仰ぐことをおすすめします。
 

生活協同組合ちば住宅コープでは、お客さまのご要望をヒアリングしながら、お住まいの構造や設備、寸法などを確認し、適切なリフォームの提案やアドバイスを提供します。屋根塗装は遮熱塗料だけでなく、断熱塗料などにも対応しており、ニーズに合った屋根塗装を行うことが可能です。

屋根塗装以外にも、外壁塗装や防水工事、リフォームなどお住まいに関するサービスを複数提供していますので、遮熱塗料を使った屋根塗装をお考えの方や、お住まいに関して悩みや不満を感じている方は、お気軽にちば住宅コープへご相談ください。

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