
この記事で伝えたいこと
外壁の雨漏りは住宅の耐久性や快適性を損なう深刻な問題です。そのため、早期発見と適切な対策が重要になります。主な原因は施工不良や外壁材の劣化、建物の変形などが挙げられます。雨漏りを防ぐには、定期的な点検とメンテナンス、ひび割れやシーリング劣化の早期補修が不可欠です。そのためには、日頃から室内や室外の状態をチェックし、雨漏りのサインを見つけたら、早めに専門家へ診断・調査を依頼することです。修繕方法にはシーリング工事や外壁補修、全面改修などがあり、費用は工事内容によって異なります。雨漏りが発生した場合は、被害が拡大する前に専門業者へ相談し、最適な修繕を行うことが大切です。
目次
放っておいては危険!外壁からの雨漏り

外壁の雨漏りは、住宅の耐久性や快適性を大きく損なう深刻な問題です。初期段階での対策が遅れると、内部への雨水浸入により、カビの発生や構造部材の腐食など、修繕費用が高額になる可能性があります。本記事では、外壁の雨漏りの原因と対策、修繕方法について詳しく解説します。適切な予防と早期発見、そして専門家への相談が重要であることを理解していただけますと幸いです。
気づきにくい外壁からの雨漏り―主な原因を解説
屋根の雨漏りは気づきやすいのですが、意外に気づきにくいのが外壁からの雨漏りです。外壁の雨漏りは、様々な要因が複合的に関係しています。まずは、主な原因について理解を深めましょう。
原因その1:施工不良
新築住宅における外壁の雨漏りの最大の原因は、施工不良です。外壁材の取り付け方法やシーリング処理、防水層の設置など、様々な工程で不備があると、雨水の浸入を防げなくなります。特に、サッシ廻りやベランダ、バルコニーなどの開口部の防水処理は重要であり、専門知識と技術が求められます。
施工不良による雨漏りを防ぐには、新築時に信頼できる工務店を選ぶことが大切です。
原因その2:外壁材の劣化
外壁は日々の風雨に晒され、経年劣化が避けられません。モルタル外壁のひび割れ、サイディング外壁のシーリング劣化、防水シートの破損など、様々な劣化が雨漏りの原因となります。
外壁材によって雨漏りのリスクと適切な点検・メンテナンス時期は異なります。主な外壁材ごとに以下のように一覧表にしましたので、参考になさってください。
外壁材 | 主な雨漏りリスク | 点検・メンテナンス時期の目安 |
---|---|---|
窯業系サイディング | シーリング劣化、反り・浮き・ひび割れ、通気層・防水紙の施工不良 | 7~10年ごとに点検・塗り替え |
金属サイディング | シーリング劣化、釘・ビスの浮き、サビ、通気層・防水シートの施工不良 | 10~15年ごとに点検・塗り替え |
ALC | 塗膜・シーリング劣化、多孔質による吸水、施工時の防水処理不良 | 10~15年ごとに点検・塗り替え |
タイル | モルタル目地や下地の劣化、タイル割れ、浮き・剥がれ | 10~15年ごとに目地や下地の点検・補修 |
モルタル | クラック(ひび割れ)、塗膜劣化、下地処理不良 | 10~15年ごとに点検・塗り替え |
外壁材の劣化を防ぐには、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。ひび割れやシーリングの劣化が見つかれば、早期に補修することが大切です。
原因その3:建物の変形
地盤の沈下や地震による建物の変形も、外壁の雨漏りを引き起こします。建物が歪むことで、外壁材にひび割れができたり、開口部に隙間が生じたりするためです。
建物の変形は避けられませんが、定期的な点検と補修により、雨漏りの発生リスクを最小限に抑えられます。
外壁の雨漏り要注意サインと点検・調査方法
外壁からの雨漏りはなかなか気づきにくいものですが、以下のようなサインが現れたら、雨漏りしている可能性があります。早急に専門業者に調査を依頼しましょう。
- ●天井や壁紙にシミ・変色がある
- ●壁紙やクロスが浮いている・剥がれている・膨れている
- ●カビ・カビ臭がする
- ●壁や天井の内側から水滴が落ちる音がする・天井から水が滴る
- ●天井の照明器具に水がたまる
- ●外壁や基礎部分に雨染みができている
- ●窓サッシや木枠にシミ・サビがある、床が濡れている
雨漏り診断・調査として、一般的には以下のような方法があります。
方法その1:目視点検
屋根や外壁、サッシまわり、ベランダ、防水層など、雨漏りが発生しやすい箇所を直接目で確認し、ひび割れ・ズレ・コーキングの劣化・カビやシミなどの異常を調べます。
方法その2:屋根裏(天井裏)の点検
屋根裏(天井裏)に入り、雨染みや濡れている部分、カビの発生などを確認します。
方法その3:散水調査
雨漏りが疑われる箇所に実際に水をかけて、どこから漏れるかを特定する方法です。再現性が高い場合に有効です。
方法その4:赤外線サーモグラフィ調査
赤外線カメラを使い、壁や天井内部の温度変化から雨水の浸入経路を特定します。目視で発見できない漏水箇所の特定に役立ちます。
方法その5:発煙調査
屋内に煙を流し、煙の流れから隙間や漏水経路を確認する方法です。
方法その6:打診調査・機器調査
壁や屋根を軽く叩いて音の違いで内部の浮きや空洞を調べたり、水分計などの機器を使って水分量を測定します。
なお、ちば住宅コープでは、組合員様のお宅にスタッフが訪問し、目視や状況確認を中心に無料で現地調査を行っております。
外壁の雨漏りを防ぐ!今すぐ始めたい効果的な対策方法

外壁の雨漏りを未然に防ぐには、様々な対策が必要です。ここでは、主な対策方法をご紹介します。
定期点検で雨漏り予防!見逃せないサインと確認箇所
外壁の状態を定期的に点検し、ひび割れやシーリング劣化、防水シートの破損などの兆候を見逃さないことが重要です。年に1回程度の専門業者による点検が理想的ですが、自分でも目視点検を行うことをおすすめします。
点検の際は、サッシ廻りやベランダ、バルコニーなど、雨水が浸入しやすい箇所に注目しましょう。
早期補修と定期塗装で守る!外壁メンテナンスのススメ
点検で異常が見つかれば、すぐに補修を行う必要があります。ひび割れやシーリングの劣化は放置すると大きな雨漏りにつながるため、早期に対応することが大切です。
また、定期的な外壁塗装も有効な対策です。塗装によって外壁材の保護膜が形成され、雨水の浸入を防ぐことができます。
外壁の雨漏りを根本解決!外壁の張り替え工事で安心の住まいを実現
外壁の雨漏りが深刻な場合は、既存の外壁材を撤去して新しい防水シートを設置し、新しい外壁材に張り替える必要があります。費用がかかりますが、根本的な雨漏り対策となります。専門業者に相談し、建物の状態に合わせた最適な工法を選ぶことが大切です。
季節ごとの点検で安心!外壁の雨漏りリスクを未然に防止
雨漏りが起きやすいシーズンは、梅雨時期(6月〜7月)と台風シーズン(8月〜9月)です。
特に千葉県内では、これらの時期に雨漏りの発生や修理依頼が急増します。梅雨や台風の後は、雨漏り調査や修理の依頼が集中するため、早めの点検・ご相談をおすすめします。
水切り設置と点検で防御!強い横殴りの雨からもガード
「水切り」とは、主に建物の基礎の上や窓下などに設置される金属製の仕切り板のことです。外壁の下端や外壁と屋根の接合部など、雨水が建物内部に侵入しやすい場所に取り付けられています。
水切りは、外壁材や基礎との間に隙間ができないように設置し、雨水が基礎や外壁内部に流れ込む前に外へ排出する役割を果たします。多くの場合、防水シート(透湿防水紙)と組み合わせて、雨水が万が一外壁の裏側に回り込んでも、建物内部に侵入せず外部に排出されるような二重の防水構造になっています。
水切りが設置されていない場合、通常の雨では問題がなくても、台風などの強い横殴りの雨の際には雨水が基礎や外壁の隙間から内部に侵入しやすくなり、雨漏りや構造材の腐食、シロアリ被害などのリスクが高まります。
また、水切りは金属製であることが多いため、サビや劣化が進むと本来の防水機能が低下します。定期的な点検や塗装、必要に応じて交換などのメンテナンスが重要です。
外壁から雨漏りしたら…知っておきたい主な修繕方法

外壁から雨漏りが発生した場合は、速やかな修繕が必要不可欠です。ここでは、主な修繕方法をご紹介します。
雨漏り発生時に即行!自分でできる応急処置テクニック
雨漏りを放置すると建物全体に支障や傷みが出て、最悪の場合、倒壊の危険すらあります。また、健康被害などの二次被害も生じかねません。
雨漏りを発見したら、速やかに自分たちでできる以下のような応急処置を施しましょう。ただし、応急処置はあくまで応急処置。専門家が処置を施すまでのつなぎに過ぎません。
室内の応急処置 | 雨漏りしている箇所の下にバケツや容器を置き、水滴を受ける。 |
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床や家具が濡れないよう、新聞紙・レジャーシート・ビニールシート・タオルを敷く。 | |
バケツの底に雑巾やタオルを入れると、水しぶきの飛び散りを防げる。 | |
天井からの水滴には、糸を垂らした釘を刺し、糸の端をバケツに入れると水が伝って飛び散りを防げる。 | |
カーテンや布製品は早めに取り外し、カビの発生を防ぐ。 | |
室外の応急処置 | 屋根や外壁の雨漏り箇所にブルーシートをかぶせ、雨水の浸入を一時的に防ぐ。 |
シートは風で飛ばされないよう、土嚢袋やテープでしっかり固定する。 | |
屋根や外壁のひび割れや穴には、防水テープを貼って塞ぐ。 | |
テープを貼る前に、表面の汚れや水分をしっかり拭き取る。 | |
コーキング剤(シーリング材)で隙間を埋める応急処置も可能。 | |
コーキング前に周囲をきれいにし、マスキングテープで養生してから施工する。 |
シーリング材の劣化が原因の場合
シーリング材の劣化が原因で雨漏りが発生している場合は、シーリング工事が有効です。古いシーリング材を除去し、新しいシーリング材を充填することで、雨水の浸入を防ぐことができます。
シーリング工事は比較的低コストで行えますが、完全な防水性能は期待できません。外壁の状態によっては、別の修繕方法を検討する必要があります。
シーリング工事の費用相場 | 900~1500円/m |
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一般的な二階建て戸建て住宅に合計200mの施工をした場合の費用 | 18~30万円 |
(別途、足場代25万円程度かかる場合は、合計43~55万円程度)
外壁補修で雨漏り対策!工事内容と費用の目安について
外壁材自体に亀裂やひび割れがある場合は、外壁の補修が必要になります。モルタル外壁ではひび割れ部分の詰め直しや、サイディング外壁では板の張り替えなどが一般的です。
外壁の補修は、単に雨漏りを止めるだけでなく、外壁の機能回復や美観の改善にもつながります。しかし、費用が高額になる可能性があるため、専門業者に相談することが重要です。
モルタル外壁のひび割れ補修(部分的) | 10万円~50万円程度 |
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サイディング外壁の一部分張り替え | 30万円~60万円程度 |
外壁全面改修が必要なときとは?費用相場と見極めポイント
外壁の劣化が著しい場合は、全面改修が必要となります。外壁材を完全に取り替えるほか、防水シートの新設なども行われます。
全面改修は大がかりな工事になりますが、外壁の機能を根本から回復できます。長期的な視点に立てば、費用対効果は高いと言えるでしょう。
モルタル外壁の全面改修(張り替え) | 200万円~300万円程度 |
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サイディング外壁の全面改修(張り替え) | 150万円~280万円程度 |
上記は一般的な費用の目安であり、建物の規模や立地条件、工事の内容によって変動します。必ず複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
火災保険や補助金を活用!工事費用の負担を賢く軽減
火災保険に「風災」「水災」などの補償が付帯していれば、火災保険で修理費用が補償されます。ただし、経年劣化やメンテナンス不足による雨漏りは補償対象外となる場合が多いので注意しましょう。
また、申請には、被害発生から3年以内であることや、被害状況の写真・見積書などの書類提出が必要となります。雨漏りの原因が津波や地震による場合は、火災保険ではなく地震保険が対象となります。
自治体によっては「住宅リフォーム助成」「耐震改修補助」などの枠組みで、外壁や屋根の修繕費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。お住まいの市町村役所や公式サイトで名称で最新情報を確認してみましょう。
見積書で差がつく!外壁工事を成功させるチェックポイント
複数の業者から見積書を取り寄せると、比較検討ができます。その際のチェックポイントを以下に示します。
- 見積書の内訳を細かく確認する(詳細な内訳がない場合は追加請求や手抜き工事のリスクあり)
- 無料見積もりの範囲を確認する(目視調査は無料でも、散水調査や赤外線調査は有料の場合が多い)
- 工事内容や修理方法について疑問があれば質問し説明してもらう
- 大幅な値引きや即決を迫る業者には要注意
- 修理後の保証やアフターサービスの有無を確認する
FAQ
- Q1.雨漏りなどの現地調査や見積もりは無料で対応してもらえますか?
- A1.ちば住宅コープでは、現地調査やお見積もりは無料で対応しています。まずはお気軽にご相談ください。調査の結果や建物の状態に応じて、最適な修繕方法をご提案します。
- Q2.雨漏りの応急処置を自分で行う場合、注意点はありますか?
- A2.防水テープやコーキング剤で一時的に補修することは可能ですが、原因箇所を誤って処置すると被害が拡大する恐れがあります。また、屋根や高所での作業は危険ですので、無理をせず専門業者にご相談ください。
- Q3.修繕工事後の保証やアフターサービスはありますか?
- A3.ちば住宅コープでは、修繕工事後も保証やアフターサービスを提供しております。万が一、再発した場合も、迅速に対応いたしますのでご安心ください。
- Q4.雨漏り修繕の工事内容にはどのようなものがありますか?
- A4.主な工事内容は、コーキング(シーリング)処理、防水テープ補修(応急処置)、外壁や屋根材の部分交換、防水シートの交換、雨樋や谷板金の修理・交換などです。建物の状況に応じて最適な方法をご提案します。
- Q5.火災保険や共済保険で雨漏り修理費用を補償してもらえますか?
- A5.台風や強風などの自然災害が原因の場合、火災保険や共済保険が適用できることがあります。ご加入の保険内容をご確認のうえ、申請手続きについてもご相談いただけます。
まとめ
外壁の雨漏りは、住宅の価値を大きく損なう深刻な問題です。発生原因は施工不良や外壁材の劣化、建物の変形など様々ですが、定期的な点検とメンテナンス、そして適切な修繕対策を講じることで、雨漏りの発生リスクを最小限に抑えられます。
雨漏りが発生した場合は、速やかに専門業者に相談し、建物の状態に応じた最適な修繕方法を選択することが重要です。初期対応が遅れると、修繕費用が高額になる可能性があるため、早期発見と対応が何より大切です。
外壁の雨漏りは放置できない問題ですが、適切な対策を講じることで、快適な住環境を長期間維持できます。本記事の内容を参考に、住まいの大切な資産を守っていただければ幸いです。お住まいの雨漏り点検などをここ数年していない方など、雨漏りに関するご質問等、お気軽にちば住宅コープまでご相談ください。