リフォーム業界の闇に挑む 住宅コープ理事長・山田育典の決意

住宅のリフォーム業界には、たくさんの闇が潜んでいます。訪問販売形式などで高齢者を狙った悪徳リフォーム業者による詐欺案件は特に深刻です。

「騙されて泣き寝入りしがちな消費者も、理不尽に中抜きされて苦しむ善良なリフォーム業者も、俺がまとめて守ってやる!!」

そのような想いで千葉県で住宅コープを立ち上げた、山田さんを取材しました。力強いリーダーシップの原点に迫ります。

生活協同組合ちば住宅コープ 理事長プロフィール

理事長 山田 育典

山田 育典- Ikunori Yamada -

経歴

1980年3月
中央大学経済学部 卒業
1980年4月
株式会社トーメンハウジング 入社
1983年3月
株式会社リクルート入社
株式会社リクルートコスモス 転籍
1991年3月
三井ホーム株式会社
2002年11月
生活協同組合ちば住宅コープ設立(千葉県知事認可)
2007年9月
生活協同組合かながわ住宅コープ設立(神奈川県知事認可)

リフォーム業界にはなぜ詐欺が多いのか

Q、リフォーム業界には詐欺が多いと言われています。どのような背景があるのでしょうか?

リフォーム業界は、無資格でも営業できてしまう特殊な世界です。
1件あたり500万円(税込)未満の小規模工事なら免許は不要で、誰でも「リフォーム業者」を名乗れてしまうのです。

相場が5万円程度のシロアリ予防を20万円で契約したり、本来3回塗るべき外壁塗装を1〜2回で手抜きをして、材料費や工賃は3回分で請求するなど。阪神淡路大震災の後に耐震工事ブームがあり、その際も詐欺が横行しました。当時の私は会社員でしたが、100万円くらいでできる耐震工事を1,000万円で売り付けられたおばあちゃんを目の当たりにした際は強い怒りを感じたことを覚えています。「酷すぎる、なんとかならないかな」と。

近年も、「キッチンの水回りの調子が悪い」と問い合わせを受けて現地調査をしたところ、キッチン設備の向きを真逆に設定し、施主様から見えないところで無理に配管や配線をつなげたキッチンを見たこともあります。ガス爆発が起きていてもおかしくない状況でした。

Q、リフォームの工事は、時に命に関わりますよね…?

当然です。悪意でこのような施工をする業者もいれば、悪意がないけれど「知識と技術不足から、悪質な工事をやってしまった」というケースもあります。

知識と技術の両方が不足する業者が多く存在するのは、この業界の闇の原因でしょう。さらに、リフォーム業界には悪質な中抜き構造も珍しくありません。

Q、山田さんがみてきた中抜き構造の実態とは?

ネットが普及したため100万円の工事を受注して、懐に70万円を入れて、善良な二次請けの業者に30万円で発注するような、悪徳な中抜き業者が増えています。
よく私のもとには疲弊した業者が駆け込んできますよ。
「働いても働いてもいつも資金繰りが苦しい」
「二次請け業者はネット業者や元請け工事店から工事金をもっと安くしろと値切られるので、両者了解のもと仕方なく見えない部分での中抜き工事をしても、トラブルがあった時は紹介しているだけなのでと逃げ口上で責任を押し付けてくる」
「この状況から抜け出したい、コープのネットワークに入りたい」と。

長年、不動産・建設業界に身を置く者として、中抜き・二次請けの業者やネット業者の構造には思うところが多いです。施主様と業者双方が苦しむ姿をあちこちで見てきたし、工事品質意識の低い業者も許せません。
騙される消費者や、善良なリフォーム業者を守るために、住宅コープという仕組みを作ったんです。

住宅コープの仕組みとは?どんなメリットがあるの

Q、ちば・かながわ住宅コープの仕組みについて教えてください。

ちば・かながわ住宅コープの事務局組合員は、リフォーム工事を考えているお客様と工事業者が両者ともに組合員になり、事務局組合員はその間に入って、

ちば・かながわ住宅コープの仕組みについて教えてください

  • お困り事に適切な工事の提案
  • 工事業者の選定と組合への加入
  • 工事業者の見積もりの内容と金額は適正か
  • 適切な工事が実行されているかのチェック
  • 工事後のアフターフォロー

などを担っています。生活協同組合ならではの加入者さま向けのサービスです。

横行する悪徳な業者や詐欺を防ぐことが私たちの理念です。

全国にはいくつか住宅を扱う生協がありますが、「工事業者を紹介するだけで、その後の工事・アフターは全て業者に任せている」というシステムのところもありますが、住宅コープは違います。上記のとおり全工程に責任をもって対応することにこだわり、組合員様を詐欺や悪質な業者から守っています。

Q、こだわりの背景を聞かせてください。

世の中にリフォーム業者の紹介サイトは無数にありますが、手数料を30〜40%以上取るにも関わらず、実質的なサービスは無いというところはたくさんあります。

ちば・かながわ住宅コープでは適正な事業経費(事務所の運営費と人件費のみを頂くのであって、利益で大きなビルを建設するとか海外旅行に行くなどということはしない)で運営しており、価値ある工事金額だと自負しています。

Q、どのように事務局組合員はお客様を守っているのでしょうか。

業者組合員から届いた見積もりが高ければ、先ず事務局組合員で内容の確認をしています。担当業者組合員には厳重注意した上で、他の業者組合員に切り替えます。

工事のクオリティを担保するため、事務局組合員と業者組合員で協議して工法を決めます。例えば外壁塗装の塗料選定であれば、現場の状況や外壁の素材によってベストな選択肢が変わるので、話し合って現場の状態に最適なものを選択しますし、施工の指導も行っています。

プロデューサー組合員(工事業者)の教育

Q、工事業者はどうやって選ぶのですか?

厳しい加入基準を設けています。先ず、生協の理念に賛同し、事務局組合員が定める研修を修了した会社と業務提携契約を結びます。次に、提携契約した会社の社員のなかから組合員訪問ができる社員に対し研修を行い、研修終了した者にだけ「プロデューサー組合員認定証」を発行しています

施工業者はどうやって選ぶのですか?リフォーム業界には社会をろくに知らない若者がいることも事実です。社会人1年生を指導するような気持ちで、やって良いことや悪いこと、社会の常識を徹底的に指導しています。人間は一緒に酒を飲むと素が見えます。店員さんに横柄な態度をするようなタイプは一喝しますし、結果的に離れていきます。「お客様に紹介できる言葉遣いや対応ができるかどうか」は譲れない選定ポイントです。

Q、プロデューサー組合員(工事業者)にはどんな教育を行っているのですか?

業種別の研修や年2回の全体研修など合計年5回の研修を設けています。運営体制は試行錯誤したのですが、取りまとめるにはこれがベストだったんです。

生協の理念を共有・維持し、プロデューサー組合員(工事業者)の意識と自覚を高め、工法の基準を統一するには繰り返し教育が必要です。プロデューサー組合員(工事業者)同士が顔を合わせることで、外壁塗装・シロアリ予防・リフォーム工事などそれぞれのプロデューサー組合員(工事業者)、異なる工事を行うときに連携がスムーズにいくというメリットもあります。

不動産・建築業界で活躍したのち、ちば住宅コープを作った理由
〜マンションの企画販売・都市開発・戸建て販売企画

Q、山田さんは、なぜ「ちば住宅コープ」を作ったのですか?

建築の世界に生まれ育ちましたが、これまでに不動産・建設業界3社に身を置き、業界事情を目の当たりにしてきたこと、そこで抱えたフラストレーションが背景にあります。

私は宮大工の棟梁の息子で、子どもの頃から夏休みや冬休みは現場で仕事を手伝ってました。

釘を一本も使うことなく建てられたお寺や一般住宅など木造建築物の新築・修復などを手がける親父は、政府の高官や大企業の社長など、名だたる方々の邸宅を任される腕の持ち主でした。強力なリーダーシップ力で大勢の職人から慕われ、曲がったことは許さず、どんな人物にも容赦なく物申す武士のような名物親父でした。
私は建築の道ではなく音楽の道に行こうと思っていたのですが、親父が「俺の夢は都市計画をやることだった」と語り出して、こんな思いがあるとは知らなかったので、親父の夢を叶えてやろうと思ったんです。
それで、先ずは不動産業界に就職することを決意し、当時の7大商社の一つ・トーメンから内定をもらい、不動産デベロッパーに配属されました。

Q、商社での不動産部門ではどんなお仕事をされたのですか?

数多くある土地情報からマンションに適した土地を仕入れて、金融機関に事業融資の取り付けを行い、ゼネコンに建築費の相見積を掛け、完成するマンションの販売・企画をする仕事です。コンビで働いていた先輩は一人で部門の売り上げの半分を叩き出すほど優秀な先輩に付いたため、私は彼の右腕として、今では考えられないほど夢中で働きました。先輩が独立した際「山田も来い!」と言ってくれたのですが、思うところがあってついてはいかず。

そんなタイミングで、リクルートから「一度、ビルの見学に来ないか」とお誘いをいただきました。

見学のつもりで本社に行くと、社長室に通され当時のリクルート初代社長の江副さんと名刺交換をして、これからの建築業界とか不動産業界について1時間ほど語り合いました。今思えば、面接だったんですね。
当日すぐに連絡があり、ずいぶん熱心に誘っていただき転職を決意しました。

リクルートに転職した当初は売れ残りのマンションを完売させる仕事でした。その後は、トーメンでの経験をもとに、マンション事業用地の購入基準の作成や、江副社長が購入した社員の誰もが手を付けられない更地状態にあった広大な土地を販売可能なマンションとして開発企画を行い、次々と完売させました。

これが内部の妬みにつながり移動になったのですが、移動先では社内初の駅前の都市再開発事業を手掛け、転籍先でも社内初の戸建て分譲を行いました。

Q、引っ張りだこですね!

引っ張りだこですね!どうなのでしょうか? 筋の通らないことを許せないこの性格は味方も多ければ敵もつくりやすいです。まあ、応援してくれたほうの方々のおかげで都市開発の業務をスタートすることができたのは良かったです。

すったもんだの末に異動したリクルート本社で
「お前何の仕事やりたいの?」「親父の夢であった都市開発に興味があります」「よし、やれ!一人で始めてみろ」
こんな役員とのやりとりから、都市開発部門を一人で立ち上げました。

Q、期待されていたことが伝わってきます。都市開発のお仕事のことを聞かせてください

「都市開発って、何から始めればいいんだろう、さっぱり分からないな」と思いつつ、とりあえず大手ゼネコンの都市開発部への挨拶回りから始めました。この時期は本当に辛かったですね。社内でたった一人の都市開発担当ですよ。少しづつ関係ができていくなかで「御社の案件、こんな仕事でお手伝いさせてください!」と積極的に関わっていきました。

2年ほど経った頃には、都市開発部という部署も出来て、ゼネコン・証券会社や行政機関とずいぶん人脈が広がりました。この人脈は後に住宅生協を立ち上げる際にずいぶんと助けられました。

それなりに順調で種となる開発事業用地も増えていったのですが、その矢先、あのリクルート事件が起こり、全てが白紙になりました。

Q、ドラマのようです…。

都市開発ができなくなったため子会社への異動が続きました。要は左遷です。左遷先では、アナログ的だったマンション管理体制を組織化させ、半年で関東圏の改革を行いました。また、マンション開発後の残地でリクルート初の戸建分譲の企画と販売を担いました。異動先でもそれなりの成績を出したのですが、また理不尽な出来事がありまして。

そんな時期、大手住宅メーカーから「人を探してるんだ」「とりあえず会社に顔を出して」と呼ばれ、高層ビルからの景色見たさで伺ったところ、「社長から新しい部署を作り、内定も出してもらっているから是非来てください」という常務取締役からのお誘いで入社しました。リクルート転職時と同じだなあって。

転職先での新しく出来た部署では自由に仕事ができ、社長賞を何度も頂きました。親会社の初の都市型分譲戸建の第1号の事業企画に携わるなど、そこそこの成績は出してきたのですが、ある有名な方が経営されているアパート団地の一つで工事部隊が図面通りに建築をせず施主様への上司の至らない発言から施主と裁判になり、上司の責任を押し付けられ左遷・異動となりました。

私が抜けるとその部署の目標達成が難しくなり、敗訴後に復帰したという出来事もありました。

Q、山と谷の繰り返しですね…。

「この先どうしようか」と考えていたときに、親父の友人から「食品ばかりの生協だが住宅生協を全国に普及させたい。先ずは千葉県で住宅生協を立ち上げて経営してみないか」というお誘いをいただきました。戦後、日本初期の生協の立ち上げメンバーだった方です。

これまで不動産・建築業界に身をおき、ありとあらゆる裏事情に翻弄され、業界のリアルを知る自分にはピッタリだなと思い、挑戦することにしました。

千葉県で住宅コープを立ち上げることにしましたが、生協の立ち上げには県内から1,000人以上の設立賛同者が必要であることが分かりました。かつて仕事で関わった取引先や同僚、先輩後輩に頼んで、賛同者の署名集めを手伝っていただき、無事に要件を満たして「ちば住宅コープ」を立ち上げました。

千葉の住宅コープが軌道に乗ると、神奈川からも頼まれ、同様に1,400人の署名を集め、「かながわ住宅コープ」を立ち上げました。

目指すビジョン

Q、ちば・かながわ住宅コープの今後のビジョンは?

リフォーム中心だった「生協の信用だけで選ばれる組織」ではなく、お客様の「人生に伴走する住まいの相談室」になることです。リフォーム業界は価格競争が激化していますが、本来、リフォームや住まいづくりの本質は、設備機器の価格ではなく「技術力と総合力」にあると考えています。

ちば・かながわ住宅コープのビジョンは?単にキッチンやトイレを交換するのではなく、給排水、壁、床など構造まで理解した上でベストな工事を提供し、お客様の住まいをトータルサポートします。

今後は、消費者の空き家問題、相続問題、不動産売買、賃貸管理、高齢者施設の紹介まで、住まいに関わるすべてをゆりかごから墓場まで支える存在になることを目指そうと思います。

Q、最後に、お客様へのメッセージをお願いします

横行する悪徳業者や詐欺から消費者を守ることからスタートしましたが、設立依頼守り続けていることがあります。
「あなたの目の前で、見知らぬ子供が一人で泣いていたらどうしましすか? おばあちゃんが横断歩道を渡れずにいたらどうしましすか?

――困っている人に、即、対応するのが人間として当たり前の行動です。」

これを住宅業として行っているのが住宅生協の仕事です。医療の仕事や住宅の仕事は専門知識が必要です。消費者は一般的には住宅に関する知識が不足しています。放っておくと生活に困ることが起きるかもしれません。それを予測し、知らせ、より良い住まいの提案を行うことが住宅生協に携わる者としての使命です。わたしたちは「健全な消費活動の規範となる」ことを理念として掲げてきました。生協は組合員皆さんが地域社会の関係の中で活動していく団体であり、企業ではありません。

悲しいことに、地球全体が資本主義経済にインストールされてしまった結果、お金の多さで偉い・偉くないなど、人の価値を決めてしまう時代です。
「今だけ良ければよい」「金さえあればよい」「自分だけ良ければよい」という考え方が増えてしまったように思えます。
最近では工事業者のみならず、消費者側にもカスタマーハラスメントにつながる一方的な要求を押し付けてくる方も増えています。
こんな時代だからこそ、日本生協の父である賀川豊彦氏が掲げた生協の理念・原点に立ち、
消費者、事務局、工事業者が協力・信頼できる住宅生協独自の体制の中で、安心して暮らせる生活提案を続けていくことが唯一の道であると考えます。

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